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 ウォンカーワイの監督作は久しぶりだ。キムタクも出てる。
 「天使の涙」「恋する惑星」などが最初だったけれど、個人的には音声の悪いマニア向け「楽園の瑕(きず)(90点)」がお好み。本来は武侠物語の脚本家だったっけ?相変わらず構成の凝ったつくりで、彼のファンにはたまらない作品であろう。そうした作成上のテクニックが確かなプロット、存在しそうな通底主題と相まって、アジア的な倦怠感を画面構成との兼ね合いもあって醸し出していて素晴らしい。欲を言えば、そうした世界観に引き込まれるまでの時間がかなりかかり、前半は退屈することだ。僕にとって、これはほかの彼の監督作品にも言える。ただ、後半は「我慢して良かったー」と思えるほど、前半の退屈が報われる。
 未来の香港の雰囲気は、攻殻機動隊の影響を強く受けているような気がした。まあ、空想の中の話なんだが。フランス映画などの倦怠感も持ってるかも。ただし、俳優はどの映画でも見た顔ばっかりね。基礎人口と底の浅さがこういう実態をつくってるのかな。ほかで見た人が多いね。
 売れ線をねらえる文学映画と言ってもいいんかいな。良くワカランけど。88点かそれ以上。公式サイトから画像をとらせてもらえない。