資産運用のこと

 昨日、おねーさまのところで地場企業関連のお金持ちと資産運用についてお話した。それ以外にも最近はメール交換でも居住用住宅についていろいろ話したし、昨日の飲み会でも話した。数日前にも書いたけれど、資産運用に限らずお金の問題としっかり向き合うことで多くの人の人生がかなり大きく変化すると思えるので、こうした問題について語ることにストレスがない。
 おねーさまとしては、おねーさまのところでお話した人には、僕が今の自分の商材の営業をして欲しいと考えていたようなのだけれど、僕はそれは出来なかった。大目的ではないし、そもそも3000万円を20年単位で運用する人に平手の株取引を進めることが顧客の最大利益になるとは到底考えられないから。こうした事態に直面したとき、常々、自分が本当にかたるべきと考えたことと、それをまげて自分の状況にあわせて語るべきと考えたこととの間で迷うことは多々あったが、「ハイパワーマーケティング」の自転車屋の一説で「自分が正義と考え、後ろめたくないことを全力で語る」ことの正しさを論理的に実感してからは、迷いがない。

 今夜のトップランナーをみた。建築家だった。ほかにテレビ番組「A様B様」でも、一般の経営学でもわかることは「人は金儲けを考えて商売を成功させることなど出来ない」ってことだ。確かに、一方では「違いがわかることに関しては、仕事にする才能がない」という理屈もわからないではないけれど、それは雇われとしての仕事人という意味であるように思う。自営業に関しては、ハートがどれほど載っているのかが最重要なのだ。

 そして、その多くが「人の人生を劇的に変化させる」ことに対するものであるように思う。

 実際のところ、人間はそれほどちゃんと考えて、感じていない。それは社会心理学でも明らかだ。状況と情報に結論を出させられている。だから、どれだけ僕がちゃんとしたことを話しても、それが心に響いて、それによってお金遣いの間違いや、資産運用の間違いを訂正することなどやはりほとんどない。この意味では、情報にすら結論を左右されない人は多い。ただ、その心理的な壁を認識して超えないのと、認識しないで超えないのとでは話がだいぶ違ってくるようには思った。

 少し前にトラバした「十代の少女などがファッションの部分で最低限の市民権を得るために売春などをしていることは、おかしいので何とかしなければならない」という全く人事に対するような言説もまた、その一端であろう。

 「市場は確かに効率的」だが、この意味では「消費ですら合理で行える人は数少ない」。多くの人にとって知性はかくも遠い。僕は現実生活が不器用だったために乗り越えたのかもしれないが、多数派に流されて普通に人生を生きられる人が、自分の人生をしっかりと自身の管理下におくことが出来る技能を身につけるのは、意外に難しい。

 課題がそう簡単になくならない以上、やはりこれが僕のライフワークなのではないかと思う。

ちょっと洗練されたので持家神話についてのまとめ

 総じて2つの壁がある。
 一つ目の壁は「なぜ家が欲しいのか?」という精神的問題。まぁ、これは持家神話でも書いているし、その背景に愚鈍な消費者から金を巻き上げようという巨大なシステムが存在することもはっきりしている。ただ、僕が気づいていなかった部分では「他者による自己承認や、単純な自己規定のために」とか「借金ぐらいないと、働く意欲がわかない」とかそういう寂しい動機も存在するようだ。

 これはつまり僕のいう金遣いの大原則のひとつ

この世の中の多くはお金で解決できるが、残りはお金では解決できない。お金遣いがうまいということは、お金では解決できない問題にお金を投じないことだ

というのに当てはまる。その後自己破産したら余計に信頼を失うし、そもそも6000万円のプライベートバンク口座のお金ならともかく、6000万円の居住用住宅を所有していることでその人を信頼する人たちのレベルもまた、お金使いに対する能力が極めて低いということに他ならない。下流の定義が所得で語られることが多いが、本当は「消費行動を含めたお金に対する技能が資産増加傾向を持っているかどうか」だろう。これが下流の実態だと思う。

 自分のことでないと良くわからないもんだね。その精神的問題によって費やされる数千万円(宝くじ数本分ですぞ)と、おそらく数十パーセントの自己破産の危機というのは、もはや信じがたい天秤だけれど、まぁ、そういう動機はあるらしい。最近知った。
 結婚したいとか、子供が欲しいとか言っている人たちの動機も、似たようなものなのかもしれないとつくづく思うし、結婚という作業によって得られる他者からの承認は、もはや馬鹿馬鹿しいほどのものがある。社会全体で頭が悪すぎる。
 しかし、そういうコンプレックスを抱かせてしまった以上、産業構造としての住宅産業は成功していると僕は思う。

 ふたつ目の壁は「その精神的問題による不合理的経済活動を認識した上で、どう建てるかという方法論はある」というもの。これはここでは書いたことなかったな。

建築費に占める材料代金は5〜15%程度なので、これを二倍にして材料を調達しても、全体の工費は5〜15%程度しか影響を受けないが、このことによって躯体のもちは2倍ぐらいにはなる。

 節の許し方によって、木材の注文を細かく行うと材料代がぐっと安くなる。あるいは節そのものを嫌わないことによって材料代は相当安くなる。

などが代表的なもの。まぁ、そんなところか。しかし、心理的なものによって人がいかに不合理な消費行動を行うかという具体的な勉強にはなった。この分野は行動経済学と言います。住宅に関しては日本人に特有だけれど。くしくもダニエル・カーネマンの本を読んでいる間の出来事。

下げてるが

 どうにもシカゴ市場日経平均先物での売りあおりが目立つ。出来高が少ない場所での出来事なので、こう下げられると買いたいのかなと思ってしまう。まぁ、ダウやS&Pも下げてるけどね。にしても、まだトレンドラインを書き直すほどではないし。しかし、今枯れなければ、夏は本当に枯れるのかな。