とりあえず総括

 強い直感によって行くことを決めた今回のセミナーを総括してみる。

 ・住むことを前提にするのであれば、現在のチェンマイあたりはアジアではほとんど最高の場所である。医療レベルが欧米とかわらないことや、医療費も保険で10万円/年程度であること(結果、多くのリタイヤ組は日本の保険証を持たない)、物価が安いこと、治安が良いこと、気候が悪くないこと、仏教国家であること、バブル後の再成長中でみんなが経済発展に対してこなれているというぐらいか。

 ・それでも住むことを本格的に考える気になれない。なんなんだろうなぁ。そういえば、瞑想場所としてはカナリよろしい。欧米人は寺社仏閣に願掛けをしないし、修行僧は本当に煩悩を落とすべく努力している人がたくさんいる。本堂の中は相当に清浄であった。

 ・投資は、どこで誰が考えたとしても基本的には好きなことをするべきである。ロバートキヨサキほど、理念なき金儲けに興味がありそうに見える人でも「情熱が感じられないことに投資すべきではない」と言っている。彼の場合は不動産だった。サンベルト社の人間も「お金だけならラブホテルがオススメ」と、暗にそうしたことを匂わせる発言をしていたのを思い出す。

 ・観光地は風俗産業と不可分であるらしい。関わらなければ良いんだけどね。ただし、この僕の感覚は、なまじ先進医療に慣れてしまった欧米人が、なんの外科的手だてもなく祈祷治療だけを施されて死んでいく地域の人々に同情するのに似ているのかもしれない。同地域では違法ではあるものの立派な職業として認められており、周囲にも本人にも強い不快感を伴う業務であるようには見えなかった。だから、僕の感覚は実体からかけ離れたおせっかいであるかもしれないし的はずれかもしれない。この問題はもう少し深く掘り下げてみる必要がありそうだ。

 ・財産による利得収入以外で、現地での生計を独立して成り立たせるのを考えた場合、欧米人インテリジェント層相手の折紙教室や、組紐教室、日本語教室(ハレナレとかを結構掘り下げる高度に知的な奴)、ファンド運用などをやってみるのが僕の本筋なのかもしれない。特に投資に対する考え方、自己責任感や情報評価に関する姿勢などのレベルからお客さんを教育する必要がないため、日本での営業よりはずっと取っつきやすいかもしれない。その上で消費生活の考え方に進んでいけばいいわけだが、アメリカはともかく、欧州は質素を知ってるから教わることの方が多いか。

 ・改めて、普通の日本人と関わることの不自由と罪悪感を強く感じたので、交際そのものを交際習慣が違う集団(今だって結果的にそうした集団としかつきあいがないわけだが)を開拓していく必要を感じた。それが外国人というカテゴリになっていくのか日本人になっていくのか、具体的にどういう戦術になっていくのか良くわからないが、人生の新しい軸が出来たのかもしれない。僕と気持ちよくつきあえる人はかなり珍しいと考えて良いはずだ。最近はぬるま湯の中にいたので、とうに不都合を感じなかったし、表だった不都合があったわけではないのでズンズンと突き進んでいろんな人に出会っていけば良いだけなのかもしれないけどね。