商工会などへの加入について

 「こちら」で少し話題になっていたので、僕なりに言及してみる。

 どんな商売をするかにもよるんだけれど、普通の結果を目指して普通に商売をやる以上は、そうした会への加入が一般的であるので、加入はオススメできるということになる。

 しかし、普通の結果を目指すわけではないのであれば、そうした会への加入は、限定的にしかオススメできない様に思う。

 ある老齢の俳優が先日のテレビで言っていた話では「芸の助けになるからと、酒を飲んだり、女遊びをしたりするのを勧められたことがあるが、そうした先輩は結局芸能界にほとんど残っていない」などというものもあった。僕がわずかな期間勤めたことがある会社の社長は、誰もが認めるほど優秀な人間であったが、彼には一般の会社での勤務経験はなかった。僕の行きつけのショットバーは流行っていないながらも他ではなかなか見ることの出来ない特色を持った営業継続15年目になる優秀な自営業だが、彼も他店での勤務経験はない。

 書籍「超・営業法」などでは、行政書士の営業、経営について様々に触れられているが、行政書士の平均年収が300万円程度であることについて、開業後仕事が来ないことの相談に先輩のところへ行っても、名刺交換をして、行政書士の会に所属して、年賀状を出して、挨拶状を出して、という一般的なアドバイスはしてくれるが、そもそもその先輩たちがろくな営業成績を持っているわけではないのだから、同じ事をしても似たような結果しか得られないとも書いている。

 まぁ、僕など、ろくな社会経験もなく一般的な名刺の受け渡しの仕方も知らなかったし電話の受け答えもビジネスベースではなかったのだから、それはそれで自営業の継続の妨げになっていると考えることは出来るわけだけれども、そうした「誰でもが出来ること」は「誰にでも習うことが出来る」のに対して、一般的でない結果を出す方法はほとんど誰も教えることが出来ない。



 僕自身は、中小企業者経済同友会(細かくは違ってるかも)に加入して、毎月7000円の会費を払っていた。社会経験そのものが少なかった僕にとっては結構な意味があったといえるのだけれども、それはこの会が営業的な部分の強化ではなく、個々人の中の人的資源の開発に重きを置いている会だったためだ。中でも、ちょっと特殊な人の集まる地球環境問題委員会に属していたため、それなりに珍しい人たちに出会うことになった。自分を気に入ってくれる人、一人に出会えれば2年間の会費の元は十分に取ったと見るべきであり、結果には満足している。

 対して、地元の商工会だと、来ている人の範囲も種類も狭く、同じ様な結果は期待できなかったのではないかと思うが、行事には出てはいないものの、今は商工会会員である。加入はトレーダーとしての生活をはじめた頃であり、加入後6ヶ月を過ぎると国民生活金融公庫の申請が楽になるという現実的なリスクヘッジのためであった。ただ、積極的な参加をすることで、地元における自分の行動が制約される様な気がして腰が引けている反面、お祭りなどを見ていると普通の人と関わるのが怖い僕でも面白そうかもしれないなと思うこともある。

 今現在、加入を考えているのは、日本デイトレーダー協会や、テクニカルアナリスト協会などがあるのだけど、僕は一般的な意味でのデイトレーダーではないし、志の在処も少し違うのではないかと思っているため、こちらも腰が引け気味。あー、激裏情報は加入しないとなぁ。

 積極的な気持ちから加入している団体はオフショア研究所(入会金だけで、会費はなし)ぐらいで、そのほか会費を払っているものは情報配信関係になってくる。神社の信者で作った会などもそれなりに親しかった時期もあるが、今は距離がある。



 さて、結論だけれど、
・会員になると秘匿的情報を配信してくれる団体はとりあえず加入してみて良さそうなものは残るべき。

・商工会などの異業種交流会は、出来るだけ広い範囲から人が参加しているもの、勧誘の言葉が「この会では商売は広がらないよ」と明言しているようなもの、がオススメ。商売が地元密着型の飲食業などであれば商工会も悪くないのかもしれないけれど、経験的には何も言えない。そんなこと言い出したら、消防団なども十分に目的に合致する組織であるように思う。

・各種勉強会、セミナーなどは、とりあえず手当たり次第出てみて、面白ければちょっとは続けて通ってみる。こうした場では、その勉強内容よりは、来ている人との出会いのほうが有効になる可能性が高い。ある程度勉強した人には批判の多いランチェスター経営や、役に立つかどうかわからないリサーチに関するセミナーなども、全く予備知識がない状況では知らないよりは知っていた方がずっと良いに決まっている。ただ、僕個人は、本やビデオで見ることの出来るセミナーは、出会ってみたい人がそこにいる可能性が高くない限り直接参加したくなるものは少ない。(不動産投資などのセミナーは、すでに優良な情報を自分自身がたくさん持っており、有料無料に限らずメルマガもある程度厳選されたものを購読していて、大方の投資家がどのような意識で望み、どういった雰囲気であるかを予測できるので参加する気にはなれない。メルマガとMLで十分な気がする)


 書いていて気づいたけれど、「情報、あるいは人を介しての有形無形の薫陶」を受けるために会に参加し、時間を使い、お金を払うべきであって、自分がどう刺激されたいのか、どれほど希少性のある情報にアクセスしたいのか、また、それらの情報を評価し取捨選択する能力があるのか、誰に近づきたいのか、ということが様々な会や限定情報のアクセスを確保するかという判断基準になるのではないかと思う。

 で、表現は悪いけれども、こうした判断基準の中では商工会などはかなり低ランクの情報ソースに属するのではないだろうか。「グローバルに考え、ローカルに行動する」とは言うものの、ローカルすぎる行動はあまり成果を生まないんじゃないかな。

 思ったより長くなってしまった。