問題な日本語

 まだ最初の方しか読んでいないけれど、なかなかしっかりした考察に富んでいて、大反響30万部というだけのことはある。読みにくくもない。実際の言葉遣いをも探求し、現実的側面にも言及していて、頭が固い様子も感じない。

 シカーシ、ここまでしっかりやるのなら、文部科学省の改訂をそのまま鵜呑みにして「つまずく」「いなずま」が現代仮名遣いで許容されているとか言うんではなく、丸谷君の意見をも載せてくれよ。後ろの方に載ってるのかな。君らの真摯な国語研究をないがしろにするこれらの許容こそが日本語を曖昧にし、言語体系を崩しているのだと主張してくれよ。ねぇ。

 あと、福沢諭吉の訳語を本人の言葉で扱った本があるはずなんだが、なんという本か知らないので買えない。先日聞いてびっくりしたが、明治維新系の短絡な国粋主義者などから言えば、諭吉は国賊なんだそうだ。高等教育を自国語のみで出来る民族がどれだけあるっていうんだ。そんなこというのは、自由、版権、競争、経済などという基礎的な言葉を使わずに現代生活を送ってからにしていただきたい。