土曜日にある人と話したこと

 土曜日のNGO関連の飲み会で、フィリピンに10ヶ月行って戻ってきた彼の現地報告会があり、楽しく聞いた。四年前のNGOカレッジの合宿で夜中に3人ぐらいで話し込んだ結果、僕の影響を比較的強く受けてこの世界にどっぷり浸かるようになったことを初めて知った。現地では何度かチフスなどにかかったのを抗生物質も使わずに治したんだそうだ。

 で彼との会話。
「今、なにされてるんですか(職業のこと)」
「まぁ、それなりに。隠すわけじゃないけどいずれわかると思うし。ただ、生まれて初めて自分の金で普通の人と似たような生活をしてる」
「お子さんとかいるとしっかり稼がなくちゃいけないんじゃないですか?」
「それは逆だよ。子供は親の感情のすべてを転写するから、僕ら夫婦は金を稼ぐ暇があったら自分の精神状態を保つほうがずっと大切だと思った。子供とサシで向き合えない精神状態のまま、金を稼いでる暇なんてないと思った」
と、話した。

 片親がこういう考え方である可能性はまだあると思うけどね。夫婦が同じ考え方というのは珍しいかもしれない。

 子供に大切なのは、親と共にご機嫌に過ごす時間であり、広い住居スペースや、車や、テレビではない。周囲と生活を比較するのは学齢期近くなってからの話だ。貧乏な生活をしていて親の精神状態が悪くなり、それが子供に転写されるとすれば、それは親が子供を見ずにモノを見て生活をしているからだと思う。

 多くの人にとって、この話が理屈でしかないのは良く知っているが、僕ら夫婦はこれを実践してきたわけだから、すべての人にとって不可能な話をしているわけではない。

 もっとも、次の月の家賃を心配することはあっても、車も住居スペースもテレビも失うことはなかったけどね。運が良かったからなのか、「笑う門には福来たる」だったのかはよくわからないけれど。