男系女子?男系男子?

 つてでもなんでも良い、なんとか話をしてもらえる右翼系の人間に行き着いたようだ。

 さて、だいたいの場合、僕が質問すると答えに窮するようなそっち系の方が多いので、ここはひとつ、勝った負けたではなく、建設的な話をしたい。そのためには「どこそこに誰がこんな事を書いていた」ではなく、「どこそこに誰がこんな事を書いていて、僕はそれが好きだ」という、形になればとも思う。結論が「信仰なので」というものでも僕としては全然構わないんだが、どうにも明治維新系右翼は変に西洋ナイズされていて「論理ではありませんから」という表現を「負け」と同義に捉えているようでこっちが弱いものいじめをしているような関係になり参ってしまうことも多い。

 さてこのたびは(落語・八五郎出世?)、女性天皇が問題アリ(皇室が潰れる)ということでのお話のようだけれど、僕が一番疑問なのはY染色体のことも生物のこともろくに知らない人たちが、なんでわざわざこの論法を持ってくるかということなのだ。こういう間違った論理展開は日本民族を科学的に成長させないばかりではなく、大衆扇動さえ出来ればそれでよいという小泉批判と同じことをしていることになるんだけど、どうなんでしょう?ここはひとつ「明治維新右翼としての信仰なので女性天皇は認められない」ではなぜダメなのでしょうか。これが1点目。

 他方、万葉系右翼の僕といたしましては、本来の渡来系部族に平定されるまでの日本民族は女系であり、記紀にも大和朝廷征服王朝であることは隠しようがない事実なんだけど、どっちが日本民族なんでしょう?

 これはつまり、漢民族女真族が平定したという状況が1000年以上続くと、結果的に混血してしまって、女親族が漢民族の王室になってしまった(漢民族に王室がなかった場合か、途絶えていた場合)という状況と同じように見えるんですが、いかがなもんでしょう。

 そもそも元々が混成民族であるはずの日本民族のルーツを、なぜ朝廷にだけ求めなければならないのか。これが2点目。

 民衆レベルでの男尊女卑はそもそも儒教伝来以前の日本にはなかったものですが、儒教は日本的なものなのでしょうか?僕にはそうは思えない。これが3点目。

 僕は今上帝が継体王朝に属すると考えていますが、万世一系という概念とはそもそもどういうものなのか。これが4点目。

 blackが言っていたように、神武天皇(僕の中では解釈上崇神天皇)の遺伝子を受け継ぐ日本人は結構多いけれど、それで血統が保たれていると考えられないのは、皇室文化に主眼があるからだと思う。しかし、現在の皇室行事の殆どは明治維新前後に作り直された復活祭であって、本来の形式でも形態でもない。なぜこんなつぎはぎだらけの復活祭を後生大事に守って、これを万世一系とリンクさせるのは無理があるがこれについてはどうでしょうか。これが5点目。

 繰り返しになるけれど、全ての答えは「信仰だから」ですむのに、なんで論理にもなっていない理屈で大衆を扇動するのか、ほかのことは現状追認レベルのことでそれほど大きな問題も感じないんだけど、なにかの理由のために皇室を語って大衆扇動するとすれば、万葉系右翼の論理信仰としてはそれこそが紳籍をないがしろにする行為でしかなく、はっきり言って許し難い。明治維新系右翼こそが右翼だと思う理由はなんなんでしょう?なんで万葉系右翼ではダメなんでしょう?

 そもそも本来の皇室信仰が世俗的な政治システムである民主主義と馴染むはずがない。それを馴染ませようとすれば、信仰が霞むのは目に見えている。うやむやにごまかすのではなく、信仰が、はっきりと民主主義と立憲君主制と科学と相容れないと表現するぐらいの覚悟があって欲しいと思う今日この頃なのだ(きっこ様風)。