モンスター

 といっても、映画の方じゃない。アニメのほう。今週が最終回だった。最終回の一回は原作にはなかったのではないかと記憶する。ラストシーンは素晴らしかったと思うが、しかし、あのラストシーンが後味悪いと感じる人もいるだろう。ずっとわかっていたことだし、その趣旨は一貫していたが、結局、この物語は「愛の物語」であった。愛を世界平和に適用しようという気にはならないが、個々人のレベルでの愛は本当に人を救う。
 また、長い長い物語が存在しなくても主題と筋が成り立つようなものではなかったのは事実。
 とにかく、原作にアニメの最終回部分が存在しなかったとすれば、アニメ化はかなり的確に原作の意図をとらえ、少ない枚数であったとしても、本さえ良ければしっかりとした名作を作れることをはっきりとさせたと思う。漫研で「絵がどうのこうの」と言っている人たちは若さを思い知ると良いだろう。ただ書きたくて書くのでなく、売れるために書くのであれば、絵は最低限でも良いだろうし、人に書かせても良いだろう。本当に大切なのは話であることが非常に良くわかる。これが偏執的な作画で為されていれば、恐らくもっと名作になり得たであろうが、その見返りに支払うリスクはとてつもなく大きなものになるだろう。

 で、この調子で原作に忠実な「F」をやって欲しいと思う今日この頃なのだ。
 88点。