二回目の柳沢発言

社民党福島瑞穂党首は6日の党参院議員総会で、柳沢伯夫厚生労働相が同日の記者会見で「2人以上の子どもを持ちたいという健全な希望」と発言したことについて「女性不在、また頭数で(少子化対策を)言ったことに強く抗議する」と述べた。民主党輿石東参院議員会長も党参院議員総会で「2人以上産まない女性は健全じゃないのか」と批判した。

 なにやら健全を連発して左翼系の人間に怒られたようだが、この発言がニュースになるのを見ていて、世の中進んだものだと思った。つか、保守系の人間には何を起こられているかとっさには理解できないだろう。一部の人に本質的に理解できない発言が普通のニュースに乗っているというのは、かなりのスピードで世の中が変化しているということなのだろう。
 事実、「真意を理解していただいて」と言い方を曲げないし。でも今のアベ政権って、こういう体質のものでしょ。「孫がいて、異性同士で結婚して、養子はとらず、子供を産めない女性は基本的に役立たずで、親の介護は制度ではなくて家族(主に嫁)がやる」という雰囲気。こうした家族観の中で様々な争点はあるものの「子供二人」ぐらいは世間的に疑義のない言説だと思っているのは当たり前の保守政治家の姿だろう。
 僕が保守とひとくくりにされるのを嫌うのは、大衆の「価値観に変化や進歩や疑義のない膠着保守」と、知識人の「世の中の変化と共に絶えず価値が変化することを前提に、自分の利益ではなく最大多数利益を追求しようとする保守」には大きな差があると思っているからなのだな。子供二人を望むのが統計的に多数派であれば「そう考えている人が多い」という科学的事実を表現することに問題を感じないけれど、「そう思わない者は(少数派だから)不健康だ」といったような表現は、「日本を多数にとってより良くしていこう」という保守主義にとって、害のある表現であると思う。
 「人間は歳をとるのだから保守的、停滞的な社会の方が年寄りには優しい。そして人はいずれ歳をとる」という戦略保守に立脚しながら、「にしても世の中は変化するのだから、マイノリティーにも幸福を与えうる社会が望ましい」という公共福祉の視点は極めて重要だと思うが、こういう視点に立った保守主義者はあまり見ないね。

 まぁ、なんだ、戦闘レベルで見ると、前回の「文脈上では全く問題のない発言」や、「今回の本人の意識が社会の革新性からは乖離していたことが明らかになった発言」が政権内部の人間の問題発言として大きく取り上げられる当たり、報道統制下にある日本のメディアでアベをパージしようという動きが活発であることに間違いはないね。やっぱり三角合併への反対が火をつけたのかな。まぁ短命でもなんでも総理になれたからいいのかな。アパグループの問題も今頃出て来るというのがなんともね。

 数年後には確実に実行されるというアメリカ大使館のサイト内にあるという通商要求について、もっと真剣に読み込んでも良いはずだな。