ここで話を分けよう

 直前に、どこかの生保の調査で「子供の勉強時間は親が勉強を教えるかどうかにもっとも強く依存する」というのを読んでいたが、実は僕は中学受験を、弟は中学と高校の受験を親父に教えてもらったのだった。そのこともありがとうと言っておいた。トップクラスになるための勉強の仕方って、塾ぐらいではなかなか伝えられないような気がするんだよねぇ。当初の「実験的にそういう勉強方法をしてみる」段階ではやる気も必要になるし。

 しかし、親父は「集団の中で良い思いをする遺伝子集団があって、それが様々なパラメータで切り取られているだけ」と言っていた。今の大脳生理学では、「行動のほとんどが遺伝」とされているのだそうだ。ちょっと寂しい話だ。今はなき、日本レイテ友好協会の人が公衆の面前で「日本人が現地妻に産ませた孤児は、現地では大変優秀になると言われていて、実際優秀。」というかなり眉唾な話をしていて「医者としてその発言はやばいだろ」と思っていたが、科学的にあながち嘘でもなかったのかな。

 日本人の遺伝子プールの話になると、どうしても徐福伝説とかいう怪しい話になるが、地続きだった時期以降は、海を渡らなければ大陸からは移住できないわけで、そういう「問題解決に積極的な遺伝子」が巨大にプールされた可能性はあり得る。
 平安期から江戸幕府設立ぐらいまでの1000年間の平均人口増加率は資料に間違いがなければ年率3%程度という計算を見たことがある(小学校のテストの裏の読み物で)。これは特定の民族が組織的に侵略してきたわけではない状況下では、古代から中世では記録的な増加率のはず。その読み物では「自然にはこのような増加率になる可能性がない」と断じていた。それが本当なら日本人の遺伝子プールのほとんどは「新しい環境に積極的に立ち向かう」性質を持っているはずで、とうてい保守的などとは言えなくなるだろう。

 逆に、アングロ、サクソン、ジュートというアングロサクソンがその後の大英帝国、今のグローバルスタンダードを作っていることを思えば、希にみる共通性と言えなくもなさそうだ。この理由、右翼は否定するだろうが・・・。

 逆に、欧州中部を席巻しながら、ゲルマン系民族に駆逐されたケルトなどは、比較的弱い民族になるのだろうか。イギリスでの現在の所得や学歴などの統計を知りたいなぁ。こういう区分けはやばいので調査していないかもしれないが・・・。

 さらに進んで、西日本の人口が東日本に比べて明らかに巨大なのは食料生産力が大きかったからだが、宮本常一の「失われた日本人」では、年寄りの引退には明確な地域差があり、西日本のほうが明らかにはっきりと引退するのに比べて、東日本では長老になっても引退しないのだとかいっていた。これは新状況への対応の差を生むから、渡来系が多い(現在でも身体的平均値に明確な差異がある)西日本は、そうした社会的、遺伝的性質を持つのかもしれない。

 僕が関東に行ったとき、同じく福岡から来て飲み屋をしている男の人に会って、「状況を変えたいと思った人がこっちに出て来ている」と言われたのを思い出す。まぁ、僕にしてもあながち違ってはいなかったのだけれど、これが遺伝集団単位で「海を渡って、新天地に行ってしまうリスクを冒してでも状況を変えたいと感じた人」がプールされたとすれば、それはかなり強烈なプールではないかと思う。