中小企業の視点から大学院進学者を見ていると

 たまたま先日東京から来ていた客人にも話したんだけどね、

末は博士か大臣か - 吐息の日々〜労働日誌〜
http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/roumuya/20091027

 正直なところ、少なくともお勉強が出来ることは担保されているわけで、使い方次第ではあると思うものの、それはどちらかというと状況即応力を必要としない単純作業系のなにか(うちでいえばPPCのチューニングなど)であり、PPCのチューニングなんてヒッキーにもゲーマーにも可能なことで、しかもPPCそのものもいつどう変化するかわからず、アルバイトならともかくこういう人を終身雇用に近い形で囲い込むのは非常に危険でしかない。

 中小企業の場合、立ち回りの良さや、状況への即応性、成長力などが、採用したい人材の要素になるんだけど、この状況下で大学院に行く人は属性としてそれが低い人ばかりということになりやすい。
 型にはまらない思考能力という要素からすると、学歴社会になじめなかった人のほうが遥かにそのパラメータは高く、能力の担保ということからすれば、一定以上の受験戦争を経験していれば(必ずしも勝ち抜いている必要はない)おおよその察しがつく。

 この状況下での大学院進学は、「でもしか」か「モラトリアム」であり、「でもしか」の人がそこから離脱するためには、そもそもの性格の変化か、なんらかのモチベーションアップが出来るなにかとの出会いが必要で、「モラトリアム」の場合はすでにやりたいことがはっきり決まっている場合、それと合致しない企業への入社はあまり奏功しないのと、本当のモラトリアムの場合はこれまた本質的に情動活動が停滞している人である可能性も高い(科学的にはIQ低めとういうことになる)。

 どんな専門にも大企業や優良企業は存在するから、本当にやりたいことを専門にして大学院に進学している人が中小企業に来る必要はほとんどないわけで、院卒後、なんらかの特殊な業界や業務に携わっていた人ならともかく(結局これは論旨から外れるし)、本当に中小企業では必要ないね。

 大学院教育がもっと実践的なことをやってくれているならともかく、その可能性はほとんどないでしょ。院卒の人間に期待する実務能力とするとリサーチならリサーチでインターンを含めた現場経験があるとかさ、他言語でのサイトを立ち上げて一定の売り上げを上げているとかさ、そういう人になるんだけど、そんなひとを列記すればするほど、うちと提携すればすむことであってどこかに就職する必要がない人をならべることになりそうなので、これ以上書いてもしょうがないな。

 この意味、僕の特殊性である「限られた情報やレギュレーションからニッチを探し出す」などというのは、つくづく技術伝達が難しいのだなぁと思わざるを得ない。まぁ、自分が持っていれば済む話ではあるのだけれど、似たような能力の人間が並立するとどのようなことが起こるのかは興味深い。