詐欺私論・暴論・つれづれ

 最近は情報遅すぎのワタクシ。フィッシング詐欺は日本上陸から三カ月以上経つんだそうだし、アメリカでは相当一般的なんだそうだ。実体は全然知らなかった。6年前ぐらいは悪徳情報マニアックスなんかにはまりこんで、掲示板にだって良く書いてたものだが、今はさっぱり。だいたい詐欺全体がワンパターンでつまんなくなってしまったのもある。

 そういえば、結婚前はテレビ雑誌に出ている女性の名前でわからない人など居なかった(正確には、わからないときにはすぐに調べていた)ものだが、わからなくなってどのぐらい経つんでしょう。そういう中でも、テレビTAROのおかげで海外の映画俳優関連の話題は未だにそれなりのオンタイム情報を持っていたりするものの、この詐欺は聞き流していた。

 だいたい、名前が付いている詐欺に新奇性のあるものが存在するなんて思ってなかったんだもん。

 実体はどこかで調べていただくとして、釣りのFISHINGかと思っていたら、ソフィスティケイティッドュのPHIで、FがPHなんだそうだ。どこの誰が名付けたんだか。そんなに洗練されてるかねぇ。FBIに専門部署が存在するそうだが、検挙は1件もないんだとか。なーるほど、FBIが付けた名前だったのかな。メールを送りつけられた人でかかる率が3%と推定されているのにもびっくらこいた。オレオレ詐欺の検挙率もかなり低い(一桁%?)と聞いた。

 詐欺的金儲け全体を勉強していて思うのは、やくざっていうのはそれほど悪いことなんてしなくても、本当に楽に金儲けしてるってことだ。僕でもこう感じるって事は、テロリストが僕なんかよりずっと有能なのと一緒で、インテリやくざは僕なんかよりずっと楽に稼げるはず。人を脅したりしなくっても、有印私文書偽造で最低数百万、公文書偽造なら数千万円、自己破産直前の人をひとり見つけるだけでお互いにお得な取引もすーぐに出来ちゃう。堅気との機会格差は相当に大きいと見るべきだ。問題は早期引退出来ないことか。

 ただ、僕なんかが知っている手法が徐々にこうした詐欺集団に利用されるようになり、徐々に封じられていくのは自分だけが持っているセーフティーネットが塞がれていくようでちっと寂しかったりする。ってやる気かい?と言われそうだ。

 前田雅英先生の刑法総論講義にあった、犯罪には社会的に犯罪と決められた犯罪と、自然的に犯罪である犯罪があるという話はとても面白かったように思う。僕は前者の犯罪は抜け道さえあればすり抜けるのを悪しとしないため、非社会的な人間なのかもしれない。つまり法治国家の行き着くところよろしく、法に触れなければ何でも出来ると思ってる部分はこれに該当する。節税とか、助成金関連の利得追求とか。

 他方、一般には犯罪的行為とされなくても、自分の中のモノサシで犯罪になる事柄はかなり明確にしかも広範に存在していて、これは僕の人生を狭めるのにかなり有効に機能してくれやがった。たとえば、受験塾の講師とか、企画住宅のセールスとか、「あなたのために勧めるんですよ」とかいう言葉とか、そういう奴。本気で人とつきあうのなら、「僕のために買って下さい」って言えよミタイナ。知らない人が知らない人にやるのは反対しないけど、それは普通の詐欺でも同じことだし。

 この中には、一般的に悪いとされていても僕の中では悪くないこともあったりする。たとえば、山っけを出した人からルールに則って金をむしり取りような行為。パチンコで勝つのもそうだし、相場で勝つのもそう。射幸心に駆られて欲を出してるんだから、同じルールの上ではどっちが負けても勝っても恨みっこ無しって感じがする。山っけを出させるために日夜努力している先物取引会社の営業となると、これは別になるけどね。

 鑑定士の中島先生も言っていたが、「素人は騙しませんが、プロは騙すこともあります。同じ土俵ですから」というのに似ている。同じ土俵にあがった以上、恨みっこ無しというスポーツみたいなもんだと言ったところか。この延長で、道路上では運転で飯食ってる人の車には僕は良くクラクションを鳴らす。公共の福祉に与える影響が大きいためだ。

 かくいう僕は、結果的に散漫でプロフェッショナル分野を持たないため、自分に厳しくする必要がないという罠。

 ともあれ、ネット上ではパスワードもカードナンバーも入力しづらくなったということになってしまった。前日本シマンテックの会長が興した会社がフィッシング対策ソフトをベンチャーで出しているそうなので、そちらを使うのも手かもしれない。