気候変動に関する科学的言説の重要なのが抜けていた

 「おそらく二酸化炭素循環よりも水(蒸気)循環のほうが気候変動に大きな影響を与えますが、現代の科学ではこれを解析することが出来ません。」
 たとえば、温暖化すれば大気中の水蒸気は確実に増加するし、追随して熱代謝も活発になる。水の態様変化による熱交換量はものすごいボリュームがあるので、これが気候変化に与える影響は甚大です。海面温度の上昇は海面からの蒸散を活発化し、巨大台風の要因となっていると同時に、それだけの熱量が海から奪われているのも間違いない。その熱がどこから供給されているのかによって、熱循環モデルの説明が全く変化するのは僕ぐらいの素人が考えても分かる話。気温から海面温度の上昇熱量が供給されているのか、海に照りつける赤外線なのか、どっちなんだろう。まぁ、このぐらいのことは答えが出ているのかな。
 また、水蒸気が大気中に増えると雲が増加して地上到達太陽光が減る。雲に反射した太陽光が二酸化炭素濃度の上下によって宇宙に放出されるかどうかはあるけれど、これが全地球的に起こるとすれば、水蒸気による熱循環モデルの確定を待たなければ気候変動などに正確に言及しづらい。
 つまり我々は気候を説明できるモデルを持っていない。
 ただ、部分的には本当っぽいこともある。ゴアが「不都合な真実」で言っているように、北大西洋に大量の淡水が流れ込んだとき、あの地域に水蒸気を提供している巨大な熱量輸送ポンプが停止(淡水は軽いので海面付近に上乗せされ南の海で吸収された熱が水蒸気の形で出てこなくなり、それが偏西風で運ばれなくなって)して、ヨーロッパが一気に寒冷化する。北アメリカの氷床が溶けだしたとき、10年で8.4度程度の寒冷化が欧州を襲ったとのこと。
 今は、グリーンランド氷床がこれに相当する。ただ、ゴアが言っているようにこれが溶ける前兆の段階にあるのか、成長中なのかは様々に観察も意見も分かれる。大気中水蒸気が氷床上で増加した場合、それが凝結して氷床が厚みを増す可能性はあり得る。